Vol.7 | グローバル発想 紙の輸入ルートを独自開拓。
佐川印刷の日野工場には用紙調達を担う専門部署の紙倉庫があります。
自社工場に紙倉庫を置く印刷会社の存在は、あまり聞いたことがありません。
ストックしている紙の量は約1万トン。その保有能力も圧倒的。すべてが“業界の常識外”。
当社は国内の各製紙メーカーと直接取引。世界各国で、独自の輸入紙調達ルートも開拓してきました。
2021年4月、より一層の連携強化のため、これまで担当していた関連会社ジャパンニューペーパー(JNP)を佐川印刷の用紙購買部として組織変更いたしました。
SESSION 01
国内生産されていなかった
印刷用紙。
JNP設立の背景には、1996年、日野工場の完成、日本最大、幅2.45mの印刷用紙に対応できるグラビア印刷機導入というエポックメイキングな出来事がありました。この紙幅の印刷用紙は国内生産されておらず、輸入紙に頼ることになります。取り扱っているのは日本の総合商社。しかし、当然のことながら中間コストが発生します。だったら「自分たちにできることは、自分たちでやってみよう」。佐川印刷らしい決断にいたったのです。最初は手探り状態の中、世界各国の製紙メーカーの情報収集からスタート。最終的に北欧に行き着き、現在も取り引きが続くフィンランドのメーカーと出会うことができました。次の課題は安定供給。ただ船便での輸送には3~4ヵ月を要します。受注してからの発注では間に合いません。そこで、日野工場に紙倉庫を建設し、常時、在庫を持つという、また新たな発想が生まれたのです。
SESSION 02
“垂直統合”の最も川上での
品質管理、資材確保。
在庫を持つことで、工場への迅速な供給が可能になります。但し、不良在庫の発生というリスクを伴います。その回避策は徹底したグループ連携。価格競争力の強い用紙の在庫情報を佐川印刷の営業担当と共有し、回転率を高める。コスト面の優位性を最大活用した営業展開です。市場価格の高騰時も一定期間は価格を据え置くことも可能。また、佐川印刷で使用するすべての用紙を取り扱うため、国産品に関しても大量発注によるコストメリットがありました。メーカーから自社倉庫への直送により、物流コストも削減できます。しかし、JNPの役割はコストダウンだけではありません。佐川印刷には、印刷の川上から川下まで一貫生産する“垂直統合”という考え方があります。用紙調達は、まさにその最も川上の仕事。大切な源流での品質管理を含めた資材確保を他社には任せられない。ここにもJNPの存在価値がありました。
SESSION 03
オリジナル用紙開発。
国産品の輸出。そして…。
JNPは、オリジナル用紙の開発にも取り組んでいました。2008年には、日本初、グラビア印刷とオフセット印刷の兼用紙「ニューグラコート」が誕生。その後、「ブリリアホワイトS」の開発にも成功しました。2方式で別々に印刷した紙を一冊に綴じた際に生じていた、見た目、出触りの違和感を解消。グラビア印刷に強みを持つ佐川印刷グループならではの発想、成果だといえます。また、森林資源を守るために定められた国際認証FSC®-CoC認証を2006年にいち早く取得。高品質の国産用紙を、海外に輸出する事業にも着手する一方、国内では佐川印刷以外への販売実績も積み重ねていました。
SDGsへの取り組み
「VISION REPORT」はSDGsとも親和性が高く、本記事に掲載した取り組みで以下の目標の達成貢献を目指しています。